こんにちは。元地方公務員のおさかなまるです。
「安定している」「クビにならない」「福利厚生が手厚い」—かつて、そんな理由から“就職すれば勝ち確”の代表格とされてきた公務員。
しかし、わたしが地方公務員として10年以上勤め、そして退職した今、次のような言葉が浮かんできています。
”公務員の終わりの始まり”
公務員は「オワコン」、つまり「終わったコンテンツ」なのか?
このまま公務員を目指していいのか?
今の公務員は、本当に定年まで勤め上げられるのか?
これらの問いに、わたしなりの答えをお話しします。
ぜひ最後までお付き合いください。
公務員を取り巻く環境は激変している
少し昔を振り返ると、公務員の世界はもっと穏やかで、余裕のある職場でした。
わたしが入庁した十数年前は、忙しい部署もありましたが、「一生安泰」「定年までいればいい」「失敗してもクビにならない」といった空気感があったのは確かです。
しかし今、その幻想は完全に崩れ去りつつあります。
一言で言えば、「責任は重く、待遇は横ばい、やりがいは削がれ、感謝はされない」。
そんな職場になっているのです。
では、公務員業界では今、何が起きているのでしょうか?
わたし自身が目にしてきた事実を基に、公務員がオワコンと言われる要因をお話ししていきます。
公務員がオワコンとされる要因
では、実際に公務員がオワコンと言われてしまう要因を解説していきます。
現場で起きている事実を基にすると、主に以下の3点だと考えられます。
- 相次ぐ人材の流出
- 増え続ける業務量と減り続ける人員
- カスハラと休職者の増加
では、順番に見ていきましょう。
①相次ぐ人材の流出 ― 未来を担う若手ほど辞めていく
これは、わたしが退職する数年前から顕著に感じていたことですが、若手〜中堅職員の退職が止まりません。
特に優秀で、リーダーシップがあり、周囲から期待されていたような人ほど、先を見据えて早々に転職していきます。
実際、わたしがいた部署でも、20代後半〜30代半ばの職員が次々と辞めていきました。
理由を聞くと、こんな声が返ってきます。
- 「頑張っても評価されない」
- 「このまま何十年もこの環境で働く未来が想像できない」
- 「もっと成長できる場所で働きたい」
- 「精神的に限界だった」
優秀な人材ほど、組織の“歪み”や“限界”に早く気づき、自分の力を試せる環境を求めて外に出ていく。
これはもはや“個人の問題”ではなく、“組織構造の問題”と言えるでしょう。

わたしが働いていた自治体は、特に酷い組織だった…
なお、どのような人が公務員を辞めるのか、より詳細に解説している記事がありますので、こちらも参考にしてみてください。
②増え続ける業務量と減り続ける人員
「働き方改革」「DX推進」「業務効率化」―耳ざわりのいい言葉が飛び交う一方で、実際の職場で起きているのは仕事の増加と人手不足の深刻化です。
たとえば、ある年に業務改革が行われ、紙の書類が電子化されたとしましょう。
でも、それによって作業時間が短くなるどころか、「紙でも対応」「デジタルでも対応」という二重対応を強いられるケースがほとんどです。
また、わたしの職場で実際にあったことですが、業務を効率化するために各部署が抱えている業務を洗い出す調査が行われました。
調査は細部に渡り、その回答作成だけでかなりの労力と時間を要したのですが、結局調査しただけで終わったという笑えない結末に。

金と時間の無駄とは、このことです。
加えて、毎年のように職員数は削減されています。
特に地方自治体では「1人が3人分の仕事をこなす」ような状態が当たり前になっています。
実際、わたし自身も年度末には深夜0時を回る残業を何度も経験しました。
人がいない。だけど仕事は減らない。責任は重くなる。だから辞める。辞める人が出れば、またその分の負担が周囲にのしかかる。
まさに負のスパイラルが止まらない状態なのです。
③カスハラと休職者の増加
そして、わたしが一番問題だと感じているのが、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の増加です。
民間企業だと、理不尽な顧客に対して毅然とした対応を取るという方針を掲げているところが多くなってきましたが、残念ながら公務員は整備が遅れているのが実情です。
特に窓口業務などでは、

「税金で給料もらってるんでしょ?」

「そんな態度でいいのか?」
といったマウントを取る市民が少なからず存在します。

公務員の方なら、一度や二度は経験があるかと思います。
こういった理不尽なクレーム対応に追われ、精神をすり減らしている職員は本当に多いです。
事実、公務員の心身の不調による長期休職者は年々増加しています。
以下の図を見てください。


こちらは過去10年の職員10万人当たりの休職者の割合をグラフ化したものです。
ご覧のとおり、長期休職者はここ数年で大きく増加しています。
かく言うわたし自身、適応障害・双極性障害により、在職中3度の休職を経験しました。

今は症状は落ち着いていますが、通院中です。
わたしの場合、主な原因は職場の人間関係(ク●みたいな上司のせい)でしたが、周りでは過労や窓口業務でのトラブルがきっかけで心身を病んで休職、という人も多かったです。
わたしが入庁した10年ほど前もハードクレーマーはいましたが、今ほど多くはなかったように感じます。
表現が正しいか分かりませんが「のほほん」とした雰囲気があった公務員の世界が、今はピリピリとしたものに変化してきているのは事実です。
それでも、公務員が「オワコン」と言い切れない理由
ここまで、ややネガティブな話ばかりしてきましたが、だからといって「公務員=絶対にやめとけ」とまでは言いません。
実際、公務員ならではの魅力があることも事実です。
それは、「職務を通じて社会に直接貢献できる」こと。
たとえば、災害時の対応、生活保護や福祉の支援、地域の子育てや教育のサポート―これらは民間ではできない、非常に重要で尊い仕事です。
現場で感謝の言葉をいただいたとき、「この仕事をしていてよかった」と心から感じる人もいます。
使命感を持って働ける人にとって、公務員という職業は今も意義のある仕事であることは間違いありません。
まとめ:公務員以外にも選択肢を広げよう
ここまで、公務員が本当にオワコンなのか、ポジティブな面とネガティブな面の両方を解説してきました。
では、結局のところわたしが何が言いたいのかというと、「公務員以外にも選択肢を広げよう」ということです。
事実として、一昔前のように、「公務員になれば一生安泰」という時代は、すでに終わっています。
だからこそ、「公務員しか選択肢がない」と思い込まないでください。
世の中には、スキルを活かして働ける民間企業、柔軟な働き方ができるスタートアップ、リモートワークで場所にとらわれず働ける職場など、多様なキャリアパスがあります。
実際、転職サイトに登録してみると驚くほどたくさんの求人があります。

今は求職者に有利な売り手市場ですしね。
公務員という経歴を活かせる職種もありますので、今すぐの転職を考えていない人でも、選択肢を持っておくために登録だけしておくことをおすすめします。
なお、公務員の方におすすめの転職サイトは以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
もちろん、公務員を続ける選択肢もあります。
ただし、それに固執しすぎると、自分自身の可能性を閉ざしてしまう恐れもある。
だからわたしは、公務員に限らず、「どこでも通用するスキルを磨き、自分の市場価値を上げること」を強くおすすめします。
わたし自身も退職後は、スキルアップを通じて新たな世界に飛び込み、今では公務員時代には考えられなかった自由な働き方を実現しています。
では、実際にどのようなスキルを磨くべきなのか?
こちらの記事では、公務員のみなさんにおすすめしたい資格について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
最後に、「公務員がオワコンか?」と聞かれたら、わたしはこう答えます。
「オワコンとまでは言わない。でも、もはや“安定”ではない」
これが、わたしが見てきたリアルです。
今、公務員を目指している人、働いている人、辞めようか悩んでいる人―そんなあなたに、少しでもこの現実が届けば嬉しいです。
そして、あなたがよりよい人生の選択をするための材料になればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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